キオクシアの株価は、AI関連株として大きく注目を集めています。
2026年は、1月の年初来安値1万945円から、6月には年初来高値11万2,700円まで約10倍に上昇しました。一方、9月15日の終値は5万1,750円で、高値からは約54%下落しています。
- AIブームで、なぜキオクシアの利益が増えるの?
- 大きく上昇した後の株価は、まだ割安なの?
- 今の好業績は、この先も続くの?
りゅう私は、AI需要の恩恵は数字に表れている一方、株価が大きく動いた後ほど「利益が続く条件」を冷静に見ることが大切だと感じています。
この記事では、キオクシア成長の背景と、株価を見るときの判断軸を整理します👇
- AI需要がフラッシュメモリの利益につながる仕組み
- 2027年3月期第1四半期の業績が急伸した理由
- 「低PER=割安」とは限らない理由


🔍 キオクシアの成長はAI需要とメモリ価格が支えている
結論から言うと、キオクシアの急成長を支えているのは、生成AI向けデータセンターの需要拡大と、フラッシュメモリの平均販売価格の上昇です。
AIというと、GPUやHBMが注目されがちです。でも、AIが扱うデータ量が増えるほど、そのデータや計算途中の情報を保存する場所も必要になります。そこで使われるのが、キオクシアが手掛けるNAND型フラッシュメモリやSSDです。
つまり、AI投資の拡大は「計算する半導体」だけでなく、大量のデータを保存し、すばやく読み出す半導体にも恩恵を広げているわけです。
📊 売上1兆7,671億円、営業利益率71.9%
キオクシアの2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上収益が1兆7,671億円、営業利益が1兆2,700億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が8,422億円でした。
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆7,671億円 | 3,428億円 |
| 営業利益 | 1兆2,700億円 | 449億円 |
| 営業利益率 | 71.9% | 13.1% |
| 親会社帰属利益 | 8,422億円 | 183億円 |
| SSD・ストレージ売上 | 1兆1,747億円 | 2,174億円 |
売上は前年同期の約5.2倍、営業利益は約28倍です。会社は、生成AIに注力するデータセンター顧客からの強い需要によって平均販売価格が大きく上昇したことに加え、出荷量の増加と円安も業績を押し上げたと説明しています。
さらに、2026年7〜9月期は売上2兆3,900億円、営業利益1兆8,900億円を見込んでいます。会社予想どおりなら、データセンター需要の強さは第2四半期も続くことになります。



ここまで利益率が上がったのは、販売数量だけでなく、メモリ価格の上昇が大きく効いたからです。
🧠 AI時代にSSDが重要になる理由
生成AIは、学習したら終わりではありません。利用者から質問を受けるたびに答えを作る「推論」が増えると、データベースや過去の計算結果を何度も読み書きする必要があります。
すべてを高価なDRAMやHBMだけに置くのは、容量とコストの面で現実的ではありません。そのため、大容量で電源を切ってもデータを保持できるNANDフラッシュとSSDが、AIシステムの保存領域や、GPUを補完する記憶装置として重要になっています。


キオクシアは、AI推論向けに245TBの大容量SSDや、GPUサーバーで使う計算途中の情報を高速に読み書きするSSDを開発しています。中長期では、データセンター・エンタープライズ向けの売上比率を60%超へ引き上げる方針です。
会社のInvestor Day資料では、外部調査をもとに、データセンター向けフラッシュメモリ市場が2025年から2028年に年平均46%で成長する想定を示しています。ただし、これは市場予測であって、将来の成長を保証する数字ではありません。
🔄 メモリ価格が利益を大きく動かす
半導体メモリは、同じ製品でも需要と供給のバランスで価格が大きく動きます。需要が強く、供給が足りないときは価格が上がり、売上以上の勢いで利益が増えやすくなります。
キオクシアのような製造業は、工場や研究開発に大きな固定費がかかります。価格が上がる局面では、増えた売上が利益に直結しやすい一方、価格が下がる局面では利益が急速に縮むこともあるんですよね。
| 環境 | 売上への影響 | 利益への影響 |
|---|---|---|
| AI需要が増える | 出荷量が増えやすい | 工場の稼働率改善につながる |
| 供給が引き締まる | 平均販売価格が上がりやすい | 利益率が大きく改善しやすい |
| 各社が増産する | 供給不足が和らぐ | 価格下落で利益率が下がる可能性 |
| 景気やAI投資が減速する | 在庫調整が起きやすい | 固定費負担が重くなりやすい |
キオクシアとSandiskは、政府支援を前提に、2032年までに日本で合計約5兆円を投資する計画を発表しました。需要を取り込むための成長投資ですが、業界全体の増産が将来の供給過剰につながらないかも確認が必要です。
⚖️ 低PERでも「必ず割安」とは言えない
2026年9月15日の終値5万1,750円に対し、会社の2026年4〜9月期予想から単純に計算すると、利益に対する株価は低く見えます。実際、市場では予想PERが6〜7倍前後という見方もあります。
でも、この数字だけで「割安」と決めつけるのは危険です。キオクシアは短期変動が大きいとして通期予想を公表していません。好況期の利益をそのまま1年分へ伸ばせばPERは低く見えますが、メモリ価格が下がって利益が縮めば、同じ株価でもPERは上がります。
また、6月末の親会社所有者帰属持分から計算したPBRは、9月15日の株価で約11.8倍です。利益面では安く見えても、純資産に対する評価は高い。つまり、市場は今の利益だけでなく、AI時代に高収益を維持する期待も株価へ織り込んでいると考えられます。



私なら「PERが低いから買う」ではなく、その利益を3年後も維持できるのかを先に考えます。
✅ 投資家が確認したい5つのポイント
キオクシアの成長が続くかを見るために、私は次の5つを確認します。
- 売上の成長:SSD・ストレージ売上が数量と価格の両方で伸びているか
- 利益率:営業利益率の高さが、メモリ価格下落時にも維持できるか
- 設備投資と現金:増産投資後もフリーキャッシュフローを残せるか
- メモリ価格と供給:競合の増産で需給が緩んでいないか
- AI需要の質:期待だけでなく、複数年契約やデータセンター向け売上として表れているか
加えて、為替も業績を動かします。2026年4〜6月期の平均為替レートは1ドル160円で、前年同期の145円より円安でした。円高へ動けば、円換算の売上や利益には逆風になる可能性があります。
📝 まとめ
キオクシアは、AIデータセンター向け需要の拡大とメモリ価格の上昇を追い風に、業績を急拡大させています。AI推論が増えるほど、大容量・高速のSSDが必要になるという成長ストーリーには、しっかりとした理由があります。
- AI需要と販売価格の上昇が、売上と利益率を大きく押し上げた
- メモリは市況産業のため、価格下落時は利益も大きく動きやすい
- 低PERだけでなく、利益の持続性・設備投資・需給まで確認する
株価が大きく動いた後に重要なのは、「成長している会社か」だけではありません。その成長がどこまで続くのか、そして今の株価がどれだけ先の成長を織り込んでいるのか。この両方を冷静に見ていきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れを含むリスクがあり、利益を保証するものではありません。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。








